賃貸物件の故意・過失とは?原状回復の定義や判断ポイントも解説

賃貸物件の故意・過失とは?原状回復の定義や判断ポイントも解説 賃貸物件の故意・過失とは?原状回復の定義や判断ポイントも解説

「退去時の原状回復費用、いくら請求されるのか不安…」「この傷、誰の責任になるの?」そんな疑問や不安を抱えていませんか?

本記事では、原状回復の定義や負担の判断ポイントなどについて解説。不当な請求を見抜き、トラブルを未然に防ぐためにも、ぜひご参考になさってください。

目次

賃貸物件の原状回復とは?

賃貸物件の原状回復とは?

「借りたときの状態に戻す」ではない

「原状回復」という言葉を聞いたとき、多くの方が「入居時の状態にそっくりそのまま戻すこと」とイメージしがちです。しかし実はこれは誤解です。

国土交通省が定める「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」では、「賃借人の居住、使用により発生した建物価値の減少のうち、賃借人の故意・過失、善管注意義務違反、その他通常の使用を超えるような使用による損耗・毀損を復旧すること」が原状回復の定義とされています。

つまり、借りた当時のままではなく、通常の使用による劣化を除いた状態に戻すことを意味します。

▶︎出典:「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」について - 国土交通省

故意・過失は借主負担

原状回復の費用が借主負担になるかどうかのポイントは、「故意・過失」による損傷かどうかです。

故意
わざと傷をつけたり汚したりする行為のことです。たとえば、子どもが壁にクレヨンで落書きをした、喧嘩でドアを蹴って穴を開けたなど、明らかに意図的なケースが該当します。

過失
注意を怠ったことによる損傷です。ジュースをこぼしてできたシミを放置したため床材が変色した、結露を放置してカビが広がったといったケースです。

これらは「生活していて起こってしまった」ものであっても、適切な対応をしていれば防げたため、原状回復費用の請求対象となります。

経年劣化・通常損耗は貸主負担

一方で、「経年劣化」や「通常損耗」と呼ばれる損傷については、基本的に貸主負担となります。

経年劣化
時間の経過とともに自然に起こる劣化。壁紙の変色や畳の日焼けなどです。

通常損耗
普通に生活するなかで避けられない汚れや傷。冷蔵庫の裏側の壁にできる電気焼け、家具の脚による床のへこみなどが該当します。

これらは借主の責任ではないため、原状回復費用を請求されることはありません。

国土交通省ガイドラインについて

国土交通省ガイドラインについて

ガイドラインの役割は?

賃貸物件の退去時、原状回復をめぐるトラブルは年間1万件以上発生しており、借主・貸主双方にとって大きな悩みの種となっています。そうした背景から策定されたのが、国土交通省の「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」です。

このガイドラインの目的は、貸主と借主の負担区分を明確にし、トラブルを未然に防ぐこと。実務上の標準的な判断基準として広く活用されており、不動産会社や管理会社もこの方針に沿って対応しています。

借主が負担すべきケース

ガイドラインでは、「借主の故意・過失または善管注意義務違反によって発生した損傷」は借主の負担としています。以下のようなケースが典型的です。

タバコのヤニ・におい
喫煙による壁紙の黄ばみや室内のにおいは、自然発生ではなく借主の行為によるものとして負担対象になります。
ペットの傷・におい
柱や壁の傷、排泄物のにおいなど、適切な飼育をしていないことで生じた損傷も借主の責任です。
鍵の紛失・破損
合鍵の作成やシリンダーごとの交換が必要な場合は、費用を請求される可能性があります。
掃除を怠った汚れ
油汚れや水垢、カビなど、日常的に清掃していれば防げるような汚れは過失とされることが多いです。
飲み物のシミ
こぼしたまま放置したことで素材に染み込んだシミやカビは、通常損耗とは見なされません。
引越し作業中の傷
大型家具を運ぶ際にできた床や壁の傷も、借主側のミスとして負担対象です。
釘・ネジ穴
石膏ボードの張り替えが必要な深さの穴は、通常使用の範囲を超えていると判断されやすくなります。

貸主が負担すべきケース

一方、自然な劣化や通常損耗については、貸主の負担とするのがガイドラインの原則です。代表的な例を見ていきましょう。

壁紙や畳の日焼け・色あせ
太陽光による劣化は時間の経過によるものとされ、借主に責任はありません。
家具の設置による床のへこみ
生活に必要な家具を配置した結果のへこみや跡は、通常の使用の範囲とみなされます。
冷蔵庫やテレビ裏の電気焼け
電化製品からの放熱による壁の変色なども、不可避な損耗とされることが多いです。
画鋲やピンの穴
ポスターやカレンダーを留めるための小さな穴は、生活上の通常使用の範囲内とされています。
設備の故障
給湯器や換気扇などが経年で壊れた場合、借主に過失がなければ交換費用は貸主負担です。

ガイドラインの把握で損しない退去を!

原状回復の費用負担で揉めないためには、何が借主の責任で、何が貸主の責任かをあらかじめ知っておくことが不可欠です。国土交通省のガイドラインは、その判断の際に有効です。退去時に突然高額な請求をされて慌てないよう、入居中から「これは自分の責任になるかも?」という視点を持ち、適切な管理を心がけましょう。

【箇所別】これはどっち?
負担の判断ポイント

【箇所別】これはどっち?負担の判断ポイント

本章では、箇所別に例を挙げながら、負担の判断ポイントについて解説いたします。

フローリング・畳・カーペット類

液体のシミ
・こぼしてすぐに拭き取った → 貸主負担
・こぼしたまま放置し、黒カビに発展 → 借主負担
家具の引きずり傷
・通常の使用による擦り傷 → 貸主負担
・家具を移動中に深くえぐるような傷 → 借主負担
キャスター付き椅子の床傷
・短期間で軽度な傷のみ → 貸主負担
・保護マットを使わずに長期間使用し、傷多数 → 借主負担
畳の焦げ跡と日焼け
・自然な日焼けによる変色 → 貸主負担
・タバコやストーブによる焦げ → 借主負担

壁・天井

子どもの落書き
・明らかに意図的なもので壁紙張り替えが必要 → 借主負担
画鋲の穴
・軽度なもので通常使用の範囲 → 貸主負担
結露を放置してできたカビ
・日常の換気や清掃を怠った結果 → 借主負担
日焼けによるクロスの変色
・自然な経年変化 → 貸主負担
ぶつけて穴が開いた壁
・家具や物をぶつけて破損 → 借主負担
ポスターを貼ってできた変色跡
・通常の使用に伴う変化 → 貸主負担

ドア・襖・障子・窓ガラス

故意に割ったガラス
・喧嘩やトラブルで故意に破損 → 借主負担
台風など自然災害での破損
・不可抗力による損傷 → 貸主負担
ペットが柱を引っかいた
・しつけ不足による明らかな損傷 → 借主負担
障子や襖の破れ
・故意に破った場合 → 借主負担
・長期間の使用による劣化や色あせ → 貸主負担

キッチン・浴室・トイレ

掃除不足によるカビ
・頑固な汚れで専門清掃が必要 → 借主負担
軽微な水垢や使用感
・通常の使用によるもの → 貸主負担
物を落としてシンクにヒビが入った
・明らかな過失 → 借主負担
排水溝の詰まり
・ゴミや髪の毛が原因で清掃不足 → 借主負担

エアコン・給湯器・換気扇

フィルター清掃を怠ったエアコンの故障
・内部にホコリが詰まり異常発生 → 借主負担
給湯器の故障
・長年の使用による故障 → 貸主負担
・説明書を無視した誤使用 → 借主負担
換気扇の油汚れ
・掃除不足による動作不良 → 借主負担

鍵・ベランダ

鍵の紛失・破損
・過失による交換 → 借主負担
ベランダのハトの糞害
・鳩害が自然発生で避けられない場合 → 貸主負担
・対策を怠り被害が拡大 → 借主負担

判断のコツは「防げたかどうか」

故意・過失か、それとも経年劣化や通常損耗かの判断基準は、「それが防げた損傷かどうか」にあります。入居中は日常的な清掃や点検を怠らず、異常を見つけたらすぐに貸主へ報告することでトラブルを回避できます。

【トラブル防止策】
入居時から退去時までの立ち回り

【トラブル防止策】入居時から退去時までの立ち回り

原状回復をめぐるトラブルを防ぐためには、入居時からの行動がカギを握ります。

入居初日はチェックと記録を忘れずに

入居時のチェックを怠ると、元からあった傷や汚れをご自身の責任にされるリスクがあります。

写真撮影は必須
部屋全体だけでなく、壁の小さなキズや床のシミなども見逃さず、日付入りで細かく撮影しましょう。動画で記録しておくのもおすすめです。

「現況確認書」で証拠を残す
写真と併せて、目視で確認できた傷や不具合を「現況確認書」にまとめましょう。後々の証拠になります。

契約書の条項を確認
「原状回復の範囲」や「借主負担の定義」が記載されている契約書・重要事項説明書をしっかり読み、不明点はその場で確認しておきましょう。

入居中の心がけ

善良な管理者としての注意義務を果たすことが、不要な修繕費請求を回避するポイントです。

こまめな掃除・手入れを習慣化
カビや水垢、油汚れは放置せず、こまめに掃除しましょう。エアコンや換気扇のフィルターも定期的な清掃が必要です。

結露対策でカビを防ぐ
換気をしっかり行い、湿気の多い場所には除湿剤や換気扇を活用すると効果的です。

破損・トラブルは早めに報告
設備の不具合や傷がついた場合は、すぐに貸主へ報告。対応が早ければ軽度な修繕で済むこともあります。

退去時は「納得」するまで

退去時の立ち会いは、費用負担の最終判断を左右する重要な場面です。

立ち会いに同席
貸主と一緒に、部屋の隅々まで確認します。ご自身の責任ではない損傷が含まれていないか、その場でチェックしましょう。

その場でサインしない勇気
見積もり内容や責任範囲に納得できない場合は、その場でサインせず持ち帰って検討するのが賢明です。

退去時も写真で記録を残す
入居時と同様に、退去時にも部屋の状態を撮影しておくと、後日のトラブル防止に役立ちます。

修繕費用はしっかり精査!

請求された修繕費用が妥当かどうかを判断するためには、見積もりの内容を細かく確認する必要があります。

見積書の内訳をチェック
「単価」「数量」「作業内容」が明記されているかを確認し、不明瞭な項目は説明を求めましょう。

ガイドラインや相場と照らし合わせる
国土交通省のガイドラインや地域相場と比較し、不当な金額が含まれていないかチェック。

原状回復に関するよくある質問

原状回復に関するよくある質問

退去時にハウスクリーニング代を請求されたけど、払う必要ある?

契約書の「特約」に明記されていれば、原則として支払う義務があります。

国土交通省のガイドラインでは「通常の使用による汚れのクリーニング費用は貸主負担」とされていますが、契約時に「ハウスクリーニング代は借主負担」との特約がある場合は有効です。

説明なしでの一方的な請求は無効となる場合がありますので、トラブル時は契約書を確認しましょう。

自分で業者を手配して修理してもいい?

原則として、貸主の同意が必要です。

小さな補修であっても、勝手に業者を手配して修理すると契約違反となる可能性があります。まずは貸主に相談し、承諾を得ることが大前提です。

とくに建具や内装など、修理の質や材料にばらつきが出やすいものは注意が必要です。

敷金が返ってこない、または追加請求された場合はどうすれば?

見積書や請求明細を確認し、納得できない場合は交渉・相談をしましょう。

請求内容の内訳を確認し、どこにいくらかかっているのか見ましょう。不明瞭な項目や「一式」「定額」などの表記には注意が必要です。

交渉が難航する場合は、「消費生活センター」や「独立行政法人 国民生活センター」など公的機関への相談が有効です。

「通常損耗でも借主負担」という特約は有効?

原則として有効ですが、特約に合理性があり、借主がその内容を理解・同意している必要があります。なお、基本的には「日焼けによるクロスの変色」「家具の跡」などの通常損耗や経年劣化は、借主が費用を負担しません。

保険でカバーできる損傷はある?

一部の損害は火災保険などでカバー可能です。
借主が加入する「火災保険」や「借家人賠償責任保険」は、火災・漏水・過失による損傷などが補償の対象となる場合があります。

例としては以下のようなケースです。

・タバコの火で壁や床を誤って焼いてしまった
・洗濯機のホースが外れ、水漏れで下階に被害を出した
・調理中に壁が焼けてしまった

これらは「借家人賠償責任保険」でカバーできる可能性があるため、トラブルが発生した場合は保険会社にも連絡しましょう。

鍵を交換する費用は誰が負担するの?

基本的には借主が負担することが一般的です。鍵の交換については、以下のようにケースごとに扱いが異なります。

・入居時に任意で交換を希望した場合 → 借主負担
・退去時に「防犯のために交換」と言われた場合 → 貸主負担
・鍵を紛失・破損した場合 → 借主負担

契約時に「鍵交換費用」の特約がある場合はその内容に従うことになりますが、不明な点があれば契約前に確認することが大切です。

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まとめ

借主が負担すべきケース

  • タバコのヤニ・におい
  • ペットの傷・におい
  • 鍵の紛失・破損
  • 掃除を怠った汚れ
  • 飲み物のシミ
  • 引越し作業中の傷
  • 釘・ネジ穴
貸主が負担すべきケース

  • 壁紙や畳の日焼け・色あせ
  • 家具の設置による床のへこみ
  • 冷蔵庫やテレビ裏の電気焼け
  • 画鋲やピンの穴
  • 設備の故障
入居時から退去時までの立ち回り

  • 入居初日はチェックと記録を忘れずに
  • こまめな掃除・手入れを習慣化
  • 退去時は「納得」するまで
  • 修繕費用はしっかり精査!